東北地方大震災の近況報告(第3報)
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震災から20日目を迎えました。第3報です。
広範囲にわたる想定外の津波を伴う地震の恐ろしさ、市民生活への深刻な影響等を出来るだけ広く知っていただき、これからの参考にしていただければと思い情報を発信させてもらっています。
仙台市内の電気は津波被災地を除き殆ど復旧しました。水道は県南の七ヶ宿ダムを水源とする県広域水道送水管の復旧が一番遅れていましたが(わが家の地域もこれです)、津波被災地を除き昨日でほぼ完了しました。ただし、市の被災宅地危険度判定調査が進み、排水が地中に浸水し二次災害を誘発する恐れのある地域は、安全性が確認されるまで通水を延期或いは再度断水のようです。TVでは津波被災地以外でも市内10数か所の給水車配備情報を流しています。
ここにきて市内内陸部の丘陵地の地滑りや地割れが相次ぎ、家が傾き、立ち入りすらできない「山津波」地区が注目されています。余震によりえぐられた地盤の被害は、いまも徐々に拡大し、市が避難勧告を出した地域もあります。今日の夕刊に「家財をすべて失った沿岸地域に比べれば文句は言えないが」と言いながら、やる方ない気持ちを抑えながら不安と闘っている地域住民の姿が報道されていました。
市都市ガスは、新潟の日本海エル・エヌ・ジーからの送ガスにより、全国の都市ガス業者の応援を得ながら開栓作業が始まりました。31万戸のうち昨日現在の復旧率は9.0%、明日からは全国からの復旧隊員が2.300人から3.200人に増員されるとのことで、作業のスピードが増しそうです。ガスの復旧は市の外側から進めているようです。 交通インフラは、3日前にJR仙石線が5.6`m運転を再開しました。県内のJRで初めての再開です。4月以降在来線の一部運転再開が進む予定です。仙台駅は壁面の崩落がひどく補修中です。地下鉄は北部の高架部分の損傷が激しく一部で折り返し運転、あとはバス代行です。三菱パークタウンに住む政投銀支店次長(築4年の家に亀裂が入ったと嘆いていますが)によると、仙台駅近くの支店まで2〜3時間を要するとのこと。 ライフラインの復旧が進むにしたがって市民の生活も落ち着きを取り戻しつつあります。わが家はリスク分散を考え、暖房は電気と灯油エアコンの2ライン、給湯は灯油、調理は電気にしていましたので、電気の復旧と灯油タンクの残り、厚意に甘えて新潟から運んでもらった灯油により、水が出た26日(16日目)でライフラインが完全に復活しました。 オール電化の住まいが多くなり、電気に続き水道の復旧でライフラインが復活している家庭が多いですが、地盤の弱い地域(特に長町地区のマンションや古い団地の盛り土造成地域)では地震により温水器が損傷したり、水道復活と同時に水圧が上がらないまま通電し空焚き状態になり(セーフティーが破損している)、せっかく電気、水道が回復しながら給湯できない家庭も多いようです。
街中心部でいち早く営業を再開したダイエー、1週間前に開けた三越、藤崎両デパートなどは食品売り場のみの営業ですが、少々列べば高値ですが、肉、魚、野菜も買えるようになりました。昨日昼に出掛けてみました。でもガスの出ない家庭は生ものは買えませんので、 出来あいの惣菜やパン、牛乳、納豆、玉子などに向かいます。缶詰は全くありません。納豆は3つ入りパック一人1個まで、牛乳の方は1.000ccパックは既に店近場の人に買われてしまっていますので200ccパック、これも一人1個制限です。
街中は何とかなるようになりましたが、東北で一番の売り場面積を持つ長町モール店をはじめ市内に10数店舗を構える西友が補修工事に時間がかかり未だ1店舗しか営業再開にこぎつけていないほか地元スーパーも閉店のままが多く、ガソリン調達難で車を自由に使えない時だけに特に郊外の方々は未だ苦労されているようです。 ガソリン等の燃油は相変わらず需給バランスが取れていません。開けているスタンドで朝早く整理券をもらうか、あてのない行列に入るかです。朝晩かなり冷えますので、整理券取得に列んでいる人の中には灯油を求める者も多くいます。私の近くのスタンドが先週末修理を終え不定期で給油を始めましたが、整理券はハイオク、レギュラー、灯油(15リットル)のうち一種のみです。どのスタンドも同じです。
時間の経過とともに被害の全貌が徐々に分かってきています。 仙台市周辺の津波による浸水エリアが国土地理院分析で分かりました。若林区で区域全体の57%が、宮城野区で33%が浸水しました。多くの方が亡くなっています。 震災により県内で発生したがれきの量は、県内で1年間に排出される一般産業廃棄物の23年分に相当するそうです。津波で流された自動車や船舶、土砂は推計に含めておらず、実際の災害廃棄物量は推計をはるかに上回るとみられます。 県内の被災車両は、自動車登録台数の約1割を占める14万6.000台と推計されています。仙台市だけで2万台。被災した県外ナンバー車両も多く、実際の被災台数はさらに膨らむとの見通しです。 県災害対策本部の調べで宮城県内の被害総額が、28日現在で1兆1.578億円に上ることが分かりました。第1次産業を中心とする津波被害が大半で、被害の把握が進むにつれ、金額がさらに膨れ上がる見通しです。既に県の新年度一般会計当初予算約8.400億円を大きく上回っています。
先ほど、近くにある仙台藩祖伊達政宗公の霊廟である「瑞鳳殿」に行ってみました。100基以上の石灯籠が倒壊し、痛々しい姿を見せていました。 広い被災地の中には見えない恐怖に神経をすり減らす日々を強いられている原発地域もあります。 この原発事故問題を含め被災地が一日でも早く復興し、今までの生活を取り戻せることを願うばかりです。
また、新しい情報を発信させていただきます。 3月30日 渡辺 陽一
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